小型ミルの新定番となるのでしょうか。
台湾のコーヒーミルブランド・1Zpresso から、小型の折りたたみ式ミル『Q2 S』が登場しています。この前紹介した最高峰ミル「K-Ultra」のサイズダウン版のようなもので、持ち運びやドリップ1杯分を淹れるのに適した新モデルです。
となると気になってくるのが、小型ミルとして定評のある TIMEMORE「NANO グラインダー」との違い。今回はこの辺りにもしっかり触れつつ、使った感想をレビューしていきます。
ブレない、安定した挽き心地。1Zpresso の『Q2 S』手挽きコーヒーミル
缶コーヒーより小さな 1Zpresso の『Q2 S』。大きさのわりに460gとずっしりしていて、安定感も。容量は焙煎度に応じて15~20g。ドリップやフレンチプレス1杯分に適していそうです。ハンドルは中心のパーツを起点にギュイっと。
上下にある2つのベアリング (丸い輪っか) が中の軸を支えていて、スムーズな挽きを実現。粉の均一性の高さや軽い挽き心地に貢献するのはもちろん、Q2S は大きいミル並みに手元がブレず、結構ラクに挽けちゃいます。
挽き音はこんな感じ。手挽きミルって、大きくガリガリ系とシャリシャリ系に分かれるのですが、これは後者。個人的にはすごく好き。エスプレッソから水出しまで、90クリックの挽き目調整が可能です。
購入するとポーチと専用ブラシが付いてきて、Amazon 価格は15,980円 (税込) 。小型ミルの中ではハイエンドな方で、TIMEMORE の「NANO」グラインダーとまったく同じ価格設定となっています。
TIMEMORE の『NANO』と比較してどう?
ここからは、TIMEMORE の小型ミル『NANO』と比較していこうと思います。前述のとおり、価格は同じ。気になっている方は、ぜひスペックや使用感だけで決めちゃってください!
見た目とか持ち心地について
まず結論、使用感は Q2S が好みでした。NANO より少し大きいのはネガティブかもしれませんが、その分容量は5g多め。体積が大きい深煎りでもしっかり1杯分挽けるし、ひょうたん型のつまみがやっぱり握りやすい!
しかもそれが NANO より大きいので、指全体でホールド可。大型ミルと同じ長さのハンドルと相まって、力を伝えやすい印象を受けました。またつまみが低い位置にあるため、下への力で挽きやすいのも軽い挽き感に貢献しているはず。
重さは460g。「NANO より100g重いのか〜」と聞こえてきそうですが、手挽きミルヘビーユーザーのオリフィー的に、軽ければ良い訳ではなくて。軽すぎると、挽いてるときに手首あたりがブレて、逆に挽きにくくなる印象があります。
それが NANO には少しあったので、100g重いのは嬉しい誤算。滑りにくさはごぶごぶですね。ただ、折り畳んだときのスタイリッシュさは NANO 一択!小さな筐体と相まって、持ち運び・収納は手挽きミルでNo.1かも。
挽いたコーヒー粉のクオリティは?
挽き目の調整は、粉受けを外してダイヤルをカチカチと。両ミルとも円錐形のコニカル刃のため、味の方向性は「まろやかさ、複雑、甘さ」で同じ。ただ、刃の形状 (大きさは同じ) や微粉の量、粉の均一性によって若干違いもあって。
Q2S の刃は7枚刃。従来の5枚刃 (NANO のもの) より軽く挽きやすくて、均一性もアップします。ちょうど3周目を粗挽きとして、エスプレッソからフレンチプレスまで、5段階の挽き目を撮ってみました。
小型ミルでこの微粉の少なさ、かなり素晴らしい気が。少なくとも、僕がこれまで試した中だと均一性の高さも含め、小型ミルでは群を抜いています。そして極細挽きもスイスイと、中型ミルに迫るほど短時間で挽けました (NANO は難しい) 。
NANO の中挽き・粗挽きと比較していく
中挽きと粗挽きを、Q2S と NANO で挽き比べ。中挽きは Q2S の方が均一で、味の再現性も高い。微粉も少ないので、雑味が少ないように感じます (Nano は雑味が増えるというより、味がより複雑になる印象。好みの問題!) 。
少し中細挽き寄りで挽いたので、エアロプレスで淹れても同じ印象を受けそうです。ただし微粉が少ない分、浅煎りだと、Q2S の方が甘さやまろやかさを感じやすく、フルーティーさを堪能できると思います。
一方で、粗挽きは NANO の方が均一な気が。Q2S は、エスプレッソからドリップ挽きは小型ミルのなかで断トツですが、フレンチプレスや水出しは少し苦手な様子。そこまで味の違いは分からないですが、一応レビューしておきます。
ココも見てほしい外観レビュー
細かな点が改良されて使用感アップ
他と違ってココが良い!のポイントをご紹介。2022年後半から登場した 1Zpresso のミル、とくにシルバー色のものは、表面の加工方法が変わったのか、ざらりとした質感に。傷が付きにくく、たとえ付いても目立たなそうです。
それに乗じて粉受けの着脱感もアップ。金属が擦り合わさったような、嫌な摩擦感がないのが嬉しかったです。本体との接点も改良されて、粉受けを深く差し込んでから回す仕様に。これがスムーズな着脱感を生んでいるようです。
ただこの形状のタイプは静電気の影響を受けやすいので、挽き終わったら本体を軽く叩いて、調整ダイヤル周りに付着したコーヒー粉を落とすようにすると◎
ハンドルの蓋は K-Ultra と同様、スモークがかったザラザラ仕様。コーヒー粉が付きにくいし、指紋も目立たないから、たとえ分解掃除をしなくても清潔に保っているように見えます。これは前モデル・Q2 からの嬉しいアップデート!
挽き目ダイヤルを粗挽き方向にひたすら回すと外れて、中のパーツがゴロッと出てきます。どの手挽きミルも基本は同じ構造で、これもご多分に漏れず。ただ調整ダイヤル (粉受けの左) までスムーズに装着できるのには驚きました。
良い点があれば、気になる点も
サイズ柄、挽き目を調整するには粉受けを外さないといけないのが、今となっては面倒に感じます。 あと一番気になったのが、挽き残り。本体を斜めにして、最後は少し振ったりもしながら綺麗に挽き終えやすいようにしています。
そして K-Ultra と同じ長さのハンドルを採用したことによって、粉受けなしでは立たないように…… (涙) 。挽き終えて粉受けを外し、ひとまず本体とハンドルは一体のまま置いて、粉をドリッパーに注ぐ──下線のタイミングで倒れちゃいます。
細かいかもしれないですが、ドリップし終えてからミルをよく掃除する方は、地味にツッコみたくなるポイントかも。大人しく寝かせるようにしています。
まとめ:ミルブランドの本気がこの一台に
NANO と比較した結果、Q2S 贔屓 (びいき) 的なレビューになってしまったのですが、これは多分自然なことで。1Zpresso はミル一筋、それも手挽きに絞ってデザイン・開発し続けているので、そりゃ強いよなぁという感想を抱きました。
小さいながら、大容量ミルと変わらない安定した挽き心地。コーヒー粉のクオリティも同ブランドのハイエンドミルに迫る勢いで、正直驚きました。外コーヒーや一人用にミルを探している方は、ぜひゲットしてみてはいかがでしょうか。