クリアな味わいを抽出するための本格派コーヒー器具。
梅雨入りする前に書いた記事『持ってワクワク、飲んで感動!KRUVE (クルーヴ)のコーヒーグラス』で紹介したブランド「KRUVE」。今回は同ブランドの代表作『SIFTER BASE (シフターベース)』という、一見マニアックなコーヒー器具を頂いた。
マニアックなので熱烈なコーヒー器具ラバーに向けて記事を書こうと思ってたけど、思いのほかシンプルな使い勝手と、その見た目の逸脱さからテンションも上がったので読者みんなに向けてレビューしていきたい。
竹の香り漂う KRUVE『SIFTER BASE』レビュー
こちらが KRUVE の『SIFTER BASE』。まるで3段弁当のような筐体は見た目より軽く、重さは約351g。開封すると、蓋の素材である竹の香りがガツンと漂ってきた。さらりとした手触りにはマットさも感じられる。
ポイントは雑味の原因になる微粉を取り除くだけでなく、粉の大きさまで均一にできる点。中段に小さい穴の空いたフィルターを付けて微粉を下段にふるい落とし、上段には大きい穴のフィルターを付けて、理想より大きい粉をキャッチ。粉の均一度を高めてくれる。微粉だけを除去するより味がクリアで、風味を感じやすい。
価格は税込13,800円と、用途としてはそれなりの高さ。カラーは僕が使う「ブラック」のほかに「シルバー」の2色展開となっており、蓋までブラックに染まった限定色もある (日本では未発売) 。
中身はこんな感じ
- 本体
- 5サイズのグラインドシーブ (メッシュフィルター)
- コーヒー粉のサイズを測れる『ブリューラー』
話が前後するが、中身はこんな感じ。使う際はコーヒー粉をふるいにかけるメッシュ状のフィルター2枚を本体にセットするのだけど、大きさの違うフィルターが5枚入っていた (300μm(=0.3mm)、500、800、1,100、1,400 (=1.4mm)) 。
あとは粉の大きさを測れる『BREWLER (ブリューラー)』もセットになっていた。後述するが、SIFTER BASE を使うときはまず愛用するグラインダーで挽いた粉のサイズを把握したい。なので地味に見えるけどこれは便利!
実際に『SIFTER BASE』を使ってみる!
実際に使わないと使用イメージが湧かないと思うので、早速ハンドドリップ用のコーヒー粉をふるいにかけていこう。まず決めるのは以下の2つ。
- どれほど小さな粉を微粉として除去するか (下のフィルター)
- どれほど大きな粉を不均一として除去するか (上のフィルター)
まずは、どれほど小さい粉を省くか決めよう。参考までに僕は500μm (マイクロメートル) 以下を微粉として除去するために、その数値が記載されたフィルターを中段にセットしている (500μmより小さい粉は下の段に落ちて溜まる)。
そして1,400μmより大きい粉も省いて粉の均一性を高めるために、上段にセットする (大きい粉をキャッチ)。穴の大きいフィルターは曲がりにくく頑丈だが、小さくなるにつれてしなやかに。無理に力を入れると折れ曲がりそうなので注意しよう。
真ん中に500μm、上に1,400μm のフィルターをセットすると、その中間サイズの粉が中段に溜まるという仕組みだ。この粉をドリップ用に使う。後述するけど、より多くの粉をドリップに使いたい場合はこの幅を広くしてあげる。
この前紹介した珈琲考具の「パウダーコントロール」のようなプロダクトは微粉しか除去できないけれど (中段フィルターの役割) 、SIFTER BASE は粉の大きさまで均一にできる点がすごい (上段フィルターの役割) 。
ふるいにかけた後のコーヒー粉がこちら
20gの中挽きコーヒー粉をふるいにかけてみた結果がこちら。ふるいのサイズは大きいものを1,400μmに、小さいものを500μmにして検証してみた。使ったグラインダーは 1Zpresso の最高位モデル『JPpro』ハンドグラインダー。
1,400μm以上の粉の量が意外にも多く2.3g。500~1,400μmの粉が15.2g、500μm以下は2.5gという結果になった。グラインダーが高性能なため中段に15.2gも残ったが、セラミック刃のグラインダーだとそこまで残らないと思う。
なおふるいにかけられる粉の最大量は公式には説明がなかったけれど、家庭で使う分にはあまり制限を気にせず使えると思う。感覚的には40gくらいまでは無理なく使えそうだ。
ドリップコーヒーの味わいについて
微粉と大きい粉を取り除いた味わいはというと、雑味が少なくフルーティな香りを透き通ったように感じられるクリーンな味わい。大きい粉も省くだけで、微粉のみを取り除いた時とは風味の感じやすさがまるで違っていた。
ただし微粉を取り除くのはもちろん大切だが、大きい粉までも省くと使えるコーヒー粉が20gから約15gとなってしまった。ふるいのサイズ幅をより狭くすると中段に残る粉の量も減るし、グラインダーの性能によってはさらに減る。
省く粉の量を最小限に止めるためにも、ふるいのサイズ幅を広くし、金属刃が備わっている機能性の高いグラインダーを選ぶことが重要となりそうだ。
1ヶ月ほど使ってみた感想。習慣的に使える?
1ヶ月ほど使ってみた感想は「習慣的に使えそう」。珈琲考具のパウダーコントロールはミニマルさもあってか、”サブ” 感が強かったけど、これは大きさ・価格的にも存在感が強いのでドリッパーやケトルたちと対等に感じる。
ただやはり毎回使うという訳ではなく、シャカシャカと振りたくなったときや、初めて購入したコーヒー豆のフレーバーをダイレクトに感じたいときに使うことが多い。コーヒーサブスク・PostCoffee の豆が届いたら、まず Shifter を使う。
一方で主張強めのサイズ感は、やや大きいようにも感じた。男性の中だと手が小さい僕はそう感じたので、少なくとも女性は同じように感じると思う。さらりとした質感のため片手だとすこし危なげ。疲れたら両手で持つようにしてる。
オプションで他のラインナップも
- GRIND Sieves
- BEAN Sieves
- SIEVE Holder Black
これまで紹介してきた『SIFTER BASE』は、その名のとおり “ベース” となるセット。より専門的で、プロフェッショナルのニーズも満たしてくれる3つのアイテムもあるので順に紹介していこう。
GRIND Sieves
BASE モデルを「PLUS」モデルにアップグレードする為のアイテムが『GRIND Sieves』。価格は10,800円 (税込) 。ふるいがさらに10枚追加され、下記サイズの粉をふるいにかけることができるようになる。
■GRIND Sieves フィルターサイズ展開
200, 400, 600, 700, 900, 1000, 1200, 1300, 1500, 1600um
僕のように自宅で、普通にコーヒーのある暮らしを楽しむ人にはあまり必要ないように感じるけど、ベースモデルで満足できなかったり、コーヒーを淹れるのが仕事の人は持ってても良さそうだ。グラインダーの粒度分布を調べたり…?
BEAN Sieves
コーヒー粉ではなく、生豆をふるうバージョンが『BEAN Sieves』。僕は全く生豆を扱わないので使うことはまだないが、コーヒー生豆の選別やホームロースト、Qグレーディングなどに興味のあるプロフェッショナルに最適だそうだ。
内容は64分の1インチ単位で測定された下記サイズのふるい10個。穴の大きさはコーヒーの等級付けのための業界標準を採用しているとのこと。
■BEAN Sieves ふるいサイズ展開
11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20 (/64インチ単位)
もちろん焙煎したコーヒー豆をふるいにかけることもできる。World Brewers Cup 2021 で世界2位に輝いた畠山大輝氏は自身の YouTube で、焙煎豆の大きさで味は変わるのか?について検証していた (大きい方が甘さを感じやすいらしい) 。
僕も中深煎り豆を使いトライしてみたけど、焙煎された豆は生豆よりも体積が大きいため一番大きい穴のサイズでも通らないものがほとんどだった。ただ一番下には欠けてる豆が残ってたので、使い道がないわけではなさそう。
SIEVE Holder Black
GRIND / BEAN Sieves を購入したならマストで使いたいのが、合計15枚のふるいを立てられる『SIEVE Holder Black』。価格は2,700円 (税込) 。SIFTER BASE と同じブラックアルマイト加工を施してるので、セットアップでの使用もおすすめ。
まとめ
こんな感じで KRUVE の『SIFTER BASE』を紹介してみた。機能性も十分だし、使い方もシンプルでわかりやすい。愛用するグラインダーの機能性を調べたり、スペシャルティコーヒーのフレーバーを鮮明に感じるには最適だろう。
欲を言えばこれより少しサイズダウンして、持ちやすいものがあると嬉しかった。が、この存在感があってこその SIFTER という感じもあり個人的にはとても気に入ってる。気になる人はぜひチェックしてみてほしい。