
夏だ。アイスコーヒーの季節だ!という入りから文字を綴りたかったが、もうすぐ夏も終わり。とはいえ記事はかなり前に執筆していたので、普段淹れてるアイスコーヒーの淹れ方を紹介していきたい。
アイスコーヒーには淹れたての熱々コーヒーを急速に冷やす【急冷式】と、水の力で成分を抽出する【水出し】の2つがあるが、今回紹介するのは急冷式。
わが家のホットコーヒーのレシピをアレンジしたバージョンなのだが、これがとても美味しく淹れられる。簡単なうえにホットのレシピとの互換性も高く、両方とも覚えやすい。ぜひ参考にしてもらえると幸いだ。
“急冷式” のコーヒーとは?


そもそも急冷式のコーヒーとは、名前のとおりお湯で抽出したコーヒーを氷で急速に冷やしたコーヒーのこと。サーバーに氷を入れて、その上から熱々のコーヒーを抽出するのも急冷式。そしてお湯で抽出したコーヒーを氷に注いでも急冷式のコーヒーと言えるだろう。
そんな急冷式アイスコーヒーの特徴は、コクがありながらキリッと爽やかな味わいだ。水出しのコーヒーはフレーバーが飛びやすい印象があるが、急冷式はコーヒーの風味、とくに酸味から連想される香りが際立つ。冬場でもお風呂上がりに飲む急冷式コーヒーは格別だ。
急冷式ドリップコーヒーの作り方
冒頭でも伝えたとおり、今回紹介するアイスコーヒーのレシピは、ホットの淹れ方をアレンジしたバージョン。理由はお互いのレシピを覚えやすいから。
昨年まではアイスコーヒー用のレシピがあったが、いくら夏場であっても冷える夜にはホットで淹れたい時もあり、その度にレシピを変えるのが少し面倒だった。そこでホットとアイスのレシピを近しいものにした。
そんなアイスコーヒーの基本となるホットの淹れ方がこちら。これはサラッと見るだけでOK。
● ホットドリップコーヒーのレシピ (1杯分)
【材料】
⚪︎コーヒー粉 (中挽き):14g
⚪︎お湯 (90~93度くらい):200ml
【淹れ方】
1. 40ml のお湯をゆっくりと、コーヒー粉全体に浸透させる
2. 40秒~50秒ほど蒸らす
3. 40mlを中央から外側へゆっくり注いでいく
4. 40ml を中央から外側へ少し速めに注ぐ
5. 残り80ml をこれまでよりは速く中央から外側へ注ぐ
【抽出時間】
2分30秒〜3分30秒ほど
そして以下が急冷式ドリップコーヒーのレシピ。ホットのレシピに氷を加え、一度に注ぐ湯量を若干変えただけのレシピだが、とても美味しいアイスコーヒーが淹れられる。
● 急冷式ドリップコーヒーのレシピ (1杯分)
【材料】
⚪︎コーヒー粉 (中挽き):14g
⚪︎お湯 (90~93度くらい):200ml → 120ml : 1杯分 (200ml) の60%
※豆の煎り具合が浅いほど湯温は高めに設定する
⚪︎ 氷:80~120gくらい : 1杯分(200ml) の40%以上
【淹れ方】
0. 氷を入れる (できれば溶けにくいロックアイス)
1. 40ml → 30ml のお湯をゆっくりと、コーヒー粉全体に浸透させる
2. 40秒~50秒ほど蒸らす
3. 40ml → 30mlを中央から外側へゆっくり注いでいく
4. 40ml → 60ml を中央から外側へこれまでより少し速めに注ぐ5. 残り80ml をこれまでより速く中央から外側へ注ぐ
【抽出時間】
2分〜2分30秒ほど (それ以上かかる場合は挽き目を少し粗くする)
実際に急冷式ドリップコーヒーを淹れてみる
それでは実際に1杯分の急冷式ドリップコーヒーを淹れていこう。
氷が溶けて味が薄まっていくので、濃い目に淹れるのがポイント。まずは氷を入れる。(多いに越したことはないので、80g以下 (全体の40%以下) にならないようにだけ気を付ける。あと溶けにくいロックアイスがおすすめだ)


蒸らしで意識するのは、コーヒーの粉一粒一粒にお湯を浸透させてあげること。いわば2投目以降で【美味しい成分を引き出しやすくするための下準備】だ。1投目のみドリッパー壁際までしっかりとお湯を注ぐ。
1投目でお湯とコーヒー豆が混じり合うと、豆に含まれる二酸化炭素が放出される。蒸らしではコーヒー豆の成分よりも先に二酸化炭素を放出させ、2投目で美味しい成分を引き出すための道をつくるのがポイント。
(ちなみにぷくぷくと膨らんでくるのはこの二酸化炭素が原因。深煎りだったり、新鮮な豆、挽き目が細かいほどよく膨らむ) 。

しっかりと全てのコーヒー粉から二酸化炭素を放出させるためにも、お湯を注いだ直後にドリッパーを3周ほどがっつり揺らすのも欠かせない。(スプーンでかき混ぜる方が確実だが、少し手間なのでぼくは揺することが多い)

よく蒸らしは30秒なんて言われるが、個人的には少し長めに40秒から50秒ほど蒸らすと、より香り高いコーヒーを抽出できるように感じる。浅煎りや粗挽きで淹れてる時など、あまりにもお湯が早く抜け切った場合は40秒ほど。


少し見にくいが、ぼくは写真くらいの細さで注ぐことが多い (たぶん鉛筆くらいの細さ)。太すぎると勢いが強すぎてお湯がコーヒー粉の層を突っ切ってしまい、成分量が薄いコーヒーが抽出されてしまう。
お湯が完全に落ち切る前に3投目を注いでいく。


3投目を注ぐ頃にはコーヒー豆に含まれる美味しい成分は減ってきているので、注ぐお湯の勢いを少し強めにし、水流の力で残りの美味しい成分を引き出すように心がける。壁際から5mmほど内側までお湯を注ぐ。

またお湯が落ち切った時にコーヒー粉が真っ平らになるように、軽く2回ほど円状に揺すってあげるといい。(真っ平らになるということは、お湯が落ち切るギリギリまで全ての豆から成分が抽出されてることを意味する)
抽出時間が3分以上経過している場合は、余分な成分までも抽出されてるように感じるので、コーヒーが完全に落ち切る前にドリッパーを上げてしまう。が、そうではない場合は完全に落とし切る。
このレシピで淹れてみて思った味わいと違う…!となった場合は、お湯の温度を1~2度上げたり、挽き目を細かくしてみる (濃かった場合は温度を下げ、挽き目を粗くする) と、好みの味わいに近づくと思うのでぜひ試してみてほしい。
アイスコーヒーに合う豆はあるの?

スターバックスで働いていた当時、「アイスコーヒーにはやっぱり深煎りですか?」と、よくお客さんに質問された。
確かに少し前まではそれが通説だった気もする。というのも、アイスコーヒーは豆の酸味を強く感じやすく、苦味や甘みは抑えられるから。浅煎りの酸が必要以上に際立ち、飲みにくくなってしまうので、酸味の少ない深煎りが一般的だったという訳。

ところが最近はサードウェーブ系 (浅煎りやシングルオリジンを中心に取り扱う) コーヒー屋さんの台頭で、浅煎りや中煎りの豆をアイスコーヒーに使うことも広く浸透してきたようだ。
個人的にはどちらも好きだが、浅煎りでアイスコーヒーを淹れた当初は口の中でダイレクトに広がる酸味に慣れず、飲めるようになったのは以前紹介した『Post Coffee』というサブスクサービスを始め、浅煎りを飲む機会が増えてから。
なのでまずは深煎りから始めるのが無難かもしれない。
まとめ

レシピは基本シンプルを心掛けていている。趣味としてコーヒーを楽しむ程度なら、レシピをコロコロ変えて味わいを調節するよりも、湯温や挽き目、ドリッパーを変える方がよっぽど気楽にコーヒーのある暮らしを楽しめる。
「アイスコーヒーの淹れ方が分からない」という人はもちろん、「アイスで淹れたいけどホットと違うレシピだから難しそう」と思っていた人も、ぜひこのレシピを試してみてほしい。